赤ちゃんにたくさん、触れていますか?
うちの助産院にくるお母さん達は、
赤ちゃんに話しかけて、抱っこをして、
たくさん赤ちゃんとふれあうことを大切に
赤ちゃん時代を過ごしているようです。
そんな様子を見ていると、
ほんわかと幸せな気持ちに。私まで笑顔になります。
Contents
スキンシップの今と昔
今の時代、
たくさんスキンシップをとりましょう。
と言われることが普通になっていますが、
その昔、赤ちゃんと触れ合うことがタブー
とされていたことがあった事をご存知ですか?
19世紀末に産業革命が始まって、
女性の労働力が求められるようになり、合理化がすすむ。
そうして
人と人、親子までも関係が薄らいでいったころに、
アメリカでは「抱かない・触れない育児法」を提唱する学者が現れました。
その内容というのは、
早く独立心、自立心をもたせるべきであって、
子どもの甘えや泣き声に親がコントロールされ、
親が子どもの支配下に置かれるべきではない、
と主張するもの。
書籍の中で、
子どもに抱っこやキスをしないこと。
あなたの膝の上にすわらせないこと。もしどうしてもキスする必要があるなら、おやすみ前に一度だけキスしてもよいでしょう。
でも、朝になって、おはようと言う時には握手にしなさい
と書かれていました。
子どもを機械のように扱い、
両親は子どもに対して、愛や慈しみなど
情緒的なものは与えるべきではなく、
理性的判断に基づいて行動すべきというものでした。
女性が働く時代の背景もあり、
次第に「抱かない・触れない育児は理にかなっている」
と、そのことが良いとされる風潮になっていきました。
日本の子育て
日本での母親ってどうだったでしょう?
母親は働くとき、家事をするときには赤ちゃんを背中におんぶする。
母親が抱っこができなかったら、祖母が抱っこをして世話をする。
赤ちゃんが求めるまま、母乳を与え母乳で育てる。
親子が同じ部屋に川の字になって寝る。
添い寝する・・・などなど。
日本はもともと、
母親と密着して赤ちゃんが育つ伝統がありました。
江戸時代では、
健康法として「小児あんま」という職業があるほど、
赤ちゃんが触れられる事は大切な事とされてきたのです。
しかし、
第二次世界大戦後に、アメリカから先ほどの流れが入ってきて、
「抱き癖がつくから抱っこしないように」
「子どもが泣いても安易に抱いてはいけない」
「放置しておくことで人間的な自立を促す」
といった、あの育児法にとってかわられました。
時代が経つにしたがって、
子ども達に様々な問題がおこり、研究もすすんだことで、
この「抱かない・触れない育児」は間違っている、
と、ようやくこの流れが逆転したんです。
そして、この流れによって、
日本でも赤ちゃんに触れることの大切さが、
再認識されるようになっていきました。
昔から伝わってきた、古き良き日本の育児法の復活です。
ベビーマッサージでスキンシップ
母親からうける様々な触れ合いによって、
身体的にも心理的にも欲求を満たされた赤ちゃんは、
かつて言われていたように
「わがままになる」わけじゃなかったんです。
スキンシップの安心感が、人を信頼して受け入れられる、
将来自信をもって世の中を探求していける、
人としての大事な基盤をつくると考えられるようになったのです。
後の研究によって、
ベビーマッサージにおけるスキンシップはもっとも大切なものであり、
母親と肌と肌のふれあいをたっぷりとった子、
スキンシップの多かった子のほうが、
そうでない子に比べて情緒が安定し、成長も早い、
さらには、知的能力も高いということもわかってきました。
そして、
医療現場でNICU(新生児集中治療室)の未熟児ケアとして、
ベビーマッサージが取り入れられてきたのです。
今では、
未熟児の赤ちゃんのみが医療現場で受けるマッサージではなく、
たくさんの赤ちゃんがお母さんや、その家族から、
マッサージを受けられるように広がってきました。
また、様々な国の育児書で身体的に親子が触れ合うことは、
子どもの成長に欠かせないものであるということが強調され、
赤ちゃんとのスキンシップをのために、
全身にオイルつけたり優しく触れ合うベビーマッサージが行われています。
そこで書かれている名称も、
ベビーマッサージ、ベビータッチケアと様々です。
言葉をもたない赤ちゃんにとって、
肌と肌のふれあい、刺激は大切なコミュニケーションです。
刺激が大切な赤ちゃん時代はあっという間。
たくさんの赤ちゃんがお母さんに抱っこされて、触れ合って、
赤ちゃん時代から、親子のコミュニケーションが楽しめる、
そんな親子が増えますように。
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