先日の北海道新聞卓上四季に
母乳のことが載っていました。
確かに戦後、粉ミルクが完全な栄養として、
もてはやされた時代もありました。
母乳が出ていても止めて、ミルクにきりかえていた時代から、
今は母乳育児がすすめられ、母乳で育てたい母親が増えて、
インターネットで他人の母乳まで売買されています。
私が母親教室で出会うお母さん達も
ほぼ全員が「できれば母乳で育てたい」と答えます。
Contents
母乳育児の実態
しかし
10年に1度行われる国の調査(2007年)では、
妊婦さんの90%以上が「できれば母乳で育てたい」と答えています。
でも、出産後の1ヶ月健診では、
母乳育児できている母は、40%にすぎない
という現実があります。
40%にまで減少する1ヶ月の間に
誰かに聞いたり、母乳外来などで母乳相談をしたのか
とても気になります。
一人孤独に泣きながら、母乳育児に頑張っている
お母さんも少なくないのですから。
母乳育児ができるために
母乳育児ができる背景には
【赤ちゃん側の事情】
- 赤ちゃんの体力
- 赤ちゃんの口やあごの構造
- 赤ちゃんが正しく乳首に吸い付けていること
(ポジショニングとラッチオン) - 赤ちゃんが苦しくない授乳の姿勢(得意な飲み方)
- 赤ちゃんが納得して母乳を飲めていること(赤ちゃんの気持ち)
【お母さん側の事情】
- お母さんの乳首の形や柔らかさ
- 抱っこがうまくできるお母さんの腕、肩の力
- 疲れないで長時間抱っこできるコツがわかること
- 出産後のお母さんの骨盤の回復具合い
- お母さんの肩こりがなく、肩甲骨の動きがいいこと
- お母さんの貧血がなく、血のめぐりがいいこと
- お母さんの体力、疲労がないこと
- お母さんの栄養状態がいいこと
- 水分がとれていること
- ストレスや不安がなくゆったり母乳育児に望めていること
- 母乳不足やミルクの足し方の判断・目安がわかること
- 授乳時の痛みや辛さがないこと
- 授乳時の痛みや辛さの解消法がわかること
- 乳腺炎や乳口炎などの乳房管理のトラブルを知っていること
- トラブル時の対応、相談先がわかっていること
- 母乳育児そのものにストレスを感じていないこと
などなど・・・・・
これに加えて、
歯が生えた時や身長の伸びなど、
赤ちゃんの発達にあわせて、
各時期の母乳育児の注意点があります。
当院の母乳相談では、
「赤ちゃんの事」「お母さんの事」「授乳スタイル」
をすべて診察させてもらい、
上記のすべてをチェックします。
母乳は色は白ですが、
お母さんの体から作られる血液と同じなので、
来院の母乳相談では、
血流を良くするために足湯からはじめます。
母乳育児に必要な知識や方法、考え方を全てを伝え、
母子ともに納得できる授乳スタイルを習得できるまでを行います。
より早い段階からの情報取得
授乳をするということは、
本当は、赤ちゃんにゆったりとおっぱいを吸ってもらい、
目を見つめながら、暖かくて心地よい至福の時間です。
母乳育児は痛みやつらさを我慢したり、
頑張って頑張って、お母さんが泣きながらするものではない
と思うのです。
もしも、
痛みや辛さ、不安があって辛い母乳育児をしているのであれば、
専門家にみてもらい、工夫や対応を知ること、ケアを受けることで、
自分が思い描く、納得できる育児ができると思うのです。
母乳ケアや母乳についての講義では、
「もっと早く知っておきたかった」
「妊娠中から知っておきたかった」
という声も多いので、
当院では、
妊娠中から「母乳育児と乳房管理」について
講話内容に入れています。
妊娠中に情報を得られなかった方は、
何かトラブルがあって専門家に相談するというよりは、
トラブルがなくても、出産後できるだけ早く、
出産した病院の助産師や近くにある開業助産師に相談して
情報を得ておくといいと思います。
そうすれば、
「赤ちゃんを泣かせない抱っこの仕方」なども
教えてもらえます。
赤ちゃん時代は、あっという間。
母子ともにニコニコ笑顔で、
貴重な母乳育児生活を楽しめるように願っています。
あなたの住む地域の開業助産師についての情報は、
北海道助産師会 開業助産師Mapでご確認下さい。
この記事へのコメントはありません。